第126章 契約

「もっと早く私の言う通りにして、大人しく宮本社長との仲を取り持っていれば、こんなタクシーを拾うような羽目にならなかったでしょうに」

「本来ならあなたみたいな人間、相手にもしたくないけれど、腐っても柏原家の人間だしね。運転手を呼んで送らせてあげてもよくってよ」

柏原星奈は自分の手入れされたネイルをうっとりと眺めながら、棘のある声で言い放った。

「惜しいわね、世の中にはあなたがみたいに身の程知らずな人間がいるんだから!」

福田祐衣は微笑みを絶やさずに応じた。

「そういえば、柏原のお爺さんって、昔はホームレスだったんですってね。時代の波に乗ってダフ屋で成り上がって、ようやく今の柏原家を築...

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